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チェルシーおばさんはようやく梯子から降りて、ついでに下ろした缶詰めを並べていましたが、ふと、その黒い瞳でアメリを見つめました。
「何か心配事があるんだね、アメリ」
アメリは黙ってわざと笑ってみせました。言ってしまうと泣きそうだったから。
「さて、お昼も近い。せっかくだわ、何かごちそうしましょう。おいしいものがあると人は不思議と話したくなるものよ」
チェルシーおばさんがウインクしました。
瞬く間に、テーブルのうえは輝きました。世界のお皿に世界の料理が、きらびやかに並びました。
「ねぇアメリ、ひとりでは出せない勇気が、人にはあるわ」
チェルシーおばさんが葡萄のジュースを振る舞いました。
「話すこともそう。悲しみも喜びも、ベッドのなかに隠していてはわからない。テーブルのうえに並べてしまうの。テーブルとはそういうものよ」
「ありがとう、チェルシーおばさん」
おばさんは赤い頬をさらに染めて、お茶目に笑いました。
こうして騒がしい昼食会は始まり、息をもつかぬ勢いで食べていたメリンダとリスたちが、やがてとろんと眠い目をし始めた頃、アメリは言いました。
「私は、パパは無事だと信じているわ」
「冒険稼業には危険はつきものだからね。うちの旦那もしょっちゅう誰かの古墳に閉じ込められているわ」
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