オカルトガイドブック

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「ひさしぶり」小池は高校時代と変わらない笑顔で手を振りながら駆け寄ってきました。  場所はJR札幌駅。天気は雲一つない快晴でした。 「北海道も暑いべ」私は覚えたての北海道弁で、迎え入れました。東京出身の私は北海道の大学に進学し、高校時代の親友である小池が、夏休みに観光を兼ねて会いに来たのでした。 「東京に比べたら涼しいよ」小池は手ぶらと言ってもいいくらいの小さな手荷物を振り回し、気分が高揚しているみたいでした。 「さっそく観光案内してやるよ。俺の部屋に行ってもエアコン無いし。車の方が涼しい」 「エアコンが無い? マジかよ・・・・・・」  私は北海道で購入した寒冷地仕様の中古車の助手席に小池を乗せると、車を走らせました。 「どこに連れて行ってくれるんだ?」小池は札幌の町並みを物珍しそうに観察しながら言いました。 「小樽」 「いいね?。寿司食べよう」  カーナビに目的地を登録せずに案内標識だけを頼りにドライブすることにしました。北海道は車社会であるためペーパードライバーは少なく、私も運転にはかなりの自信がついていました。  小樽市は人口12万人の港湾都市で、年間数百万人の観光客が訪れる観光都市でもあります。昭和初期にかけては北海道最大の経済都市でもありました。現在残っている歴史的な建造物はその当時に建てられたものです。
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