選抜試験と『競争』曲

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カロリナから短剣を受け取る。確かに軽くて基本的な動きだけなら初心者でも扱いやすそうだ。大きな剣もカッコよくて魅力的だが、魔法を使うのがメインだから、扱いやすいのに越したことはない。よし、この武器にしよう。 「カロリナーー」 「ちよっと待って。この奥になにか……」 ランプをゆらゆら揺らしながら武器の合間を縫ってカロリナは何かを取り出した。木製のそれは剣のように見えたが、柄から先の肝心の刀身がなかった。 「なにこれ、柄だけ?」 カロリナはそれを表裏に返しながら難しい顔をして一人言をぼそぼそと呟く。 「……これ、もしかして!」 何かを思いついように大きな声を出すと、ランプを僕に投げてカロリナは探し物を始めた。 「あったわ!」 その手には青色と赤色のリベラメンテが2つ。 それを柄にはめて振り下ろすと、目が眩むような一瞬の輝きののち、柄の先から赤と青が入り交じった刀身が形作られた。 「これは……」 色鮮やかなそれは、決して直線的な美しさではない。多様な色味を見せるリベラメンテの色彩がそのまま合わさったような赤と青の豊かなグラデーション。角度を変え、瞬きをするだけで輝きが変わる流動性のある美しさ。自然をそのまま凝縮したような神秘的なそれは、まさに息を呑むほどの美しさだった。 「これはヴェルヴ・カンタンドよ。本来、リベラメンテ専用の武器は1つのエレメントしか扱えないように穴が1つしか開いていないもの。複数のエレメントを同時に扱うのは非常に難しくて、暴走したり、魔法が発動しなかったりする。だけど、これは2つのエレメントを操れる人専用に作られた特別な武器。これこそ、あなたにピッタリだと思うわ」 カロリナから手渡されたヴェルヴ・カンタンドーー長いからヴェルヴを軽く振ってみる。頭にマリーとカロリナの曲を走らせながら。(まだら)だった色が動き出し互いに混ざり合うと、赤紫色の刀身の結晶に変わった。 「少し赤色が強いわね。でも、悔しいけど、さすがとしか言えないわ。私ではその武器は使いこなせない」 イラついたように髪の毛を払うと、僕の手からランプを取って、カロリナは入口へ向かって歩き始めた。 「それは、私の権限であなたにプレゼントします。いい? ハルト。私からの最初のプレゼント、大事に使いなさい」
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