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麦わら帽子を被り、筋肉で黄色いポロシャツを膨らませ、大量の汗で焼けた肌をテカらせている。まるで背脂ラーメンのどんぶりの外側を伝わり落ちる脂のよう。
男はめいっぱい顔の筋肉を動かし声を張り上げた。
「お勤め、ごくろうさん! 集合場所はあっちだ!」
状況から先生とおぼしき人がクリームパンのような手で真っ直ぐ伸びる桟橋の先を示していた。
桟橋の根元の広くなった所に人間とおぼしき物体が小さくあった。
ゆらゆら動いて見える。
これも状況からして先生だろう。
しかし、こうして見ると、ヒトはじつにちっぽけだ。それを情け容赦なく焼き続けるでっかい太陽の気が知れない。
ふらふらと歩く自分の後ろでは、自分と同じ制服を着て荷物を携えた男女が誘導されるがままに連なっていた。
きっと自分と同じふらふら感を感じている人間も多いのではないだろうか。
分かち合っても大した慰めにもならないけれど、ツラいものだ、船に酔うのは。
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