2. 恋しくて

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 翌朝ユキは急いで船の片づけをしている泉の畔に向かった。  選手たちが小舟を馬車に詰め込んでいる。  紫の小舟が見えると、側にダーシンの姿があった。 「ダーシン。昨日は、ごめんなさい。急に、笑ったりして。失礼だったよね。あの、私、藤城雪です。よろしく……」    ユキが早口で言葉を吐き出した。  走ってきたものだから、息を切らしている。 「いえ。何も気にせんで下さい。それより落ち着いて。息切れてますやん」  プッとダーシンは吹き出した。 「……思てたんとちゃいますね。なんや『女神様』言うから、ツンとしてすました人、想像してましたけど、普通の女の子ですね。隊の奴らが可愛らしい人や言うてましたけど、わかりますわ」  あけっぴろげに褒められてユキの顔が赤くなる。  ダーシンがそんなユキを見て、赤面した。 「ちゃいますよ! 何か変な事言いましたね。すんません」  ダーシンがポリポリと頭を掻いた。 「昨日俺、何か変な事言いました? なんや失礼な事言うたんやないかと逆に気になって……」 「違うのよ。本当に失礼な事してごめんなさい。ダーシンは何も悪くないの。ダーシンのその……方言がね、私の国にある方言と全く一緒なのよ。それで……まあいろいろ思い出したら可笑しくて」  ユキは姉に何度も会いに行った大阪について、どんな所なのかダーシンに話した。
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