2. 恋しくて

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「それで私、お笑い番組も好きでよく見るんだよね」 「バングミですか?」 「えっとねえ。テレビ…………劇場で芸人さんが、面白い事しゃべるのよ。それが好きでね。まあ、生では見てないんだけどね」 「芸人さんがおもろい劇やるっちゅうことですか?」 「うん。そう、そうそんな感じ。それが大好きなんだよね」 「若い女の子やと、今ハヤリの芝居なんかが好きなんかと……」    ユキとバチリと目が合って、ダーシンが目を逸らした。 「あー、あのお芝居ね。エレノワ様から聞いたわ……ハハ。あれ実話じゃないからね? フィクションだからね?」 「……すんません」 「やだ、ダーシンが謝る必要無いんだって」  ユキが笑いかける。 「……で、何の話してたっけ?」 「お姉さんが住んどるいう……」 「ああ、そうだった。大阪について話してたんだった」    二人が話し込んでいると、ダーシンが馬車の方から呼ばれた。 「あっ! ごめんね。片づけの途中だったよね」  邪魔をしてしまったと思い、ユキがいそいそと立ち上がる。 「かましません。帰るだけですから」  ダーシンがニカッと笑った。 「私も戻るね。なんか……ダーシンと話せて良かった。やっぱりホッとしちゃうな。その言葉聞いてると、凄く胸がギュッてなるよ」  ダーシンが微笑む。 「いつでもどうぞ」  ユキも微笑んだ。    別荘に向かって歩き出したユキは、振り返ってダーシンに叫んだ。 「また宮殿でね!」    ユキが手を振ると、ダーシンは一瞬躊躇したものの、小さく手を振り頭を下げた。
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