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そんなもんなのだろうか。
藤咲さんはいつも通り、最近姉の好きなお店のモンブランを手にして現れたのだが・・・それにしても、貢ぎ物(全て食べ物)を毎回美味しそうに全て食べるくせに、太らないのも謎だ。
いや、前に聞いたら能力を、使うのにはそれなりにパワーがいるから、消費してチャラになると言ってたような・・・。
「藤咲さん、仕事どーしたんです?まだ日が高いのに。」
比菜さん、あなたもでしょう。
「自分は夜勤だったんで、今から帰るとこなんですよ。そーいう比菜さんは?」
「私は編集長に、一華を企画に連れてこい!って言われたから、約束こぎつけるまでは帰れないんですよ。」
「そうでしたか。それはご苦労様ですね。」
うんうんと頷いた藤咲さんに僕は小さな丸椅子を差し出した。比菜さんは店と家の間にある段差に腰かけていた。
「で、比菜さん教えて下さいよ、姉さんの合コン話。」
正直、姉が合コンなんて行く様な性格ではないのは分かりきっている。だからこそ、余計に興味が湧いた。
「ああ、それね。あれは、二回生の頃になるんだけど・・・。」
比菜さんは、その頃を思い出し懐かしみながら僕達に話してくれた。
「ねえ、一華合コンについてきてくれない。」
いかにも不機嫌そうにこちらへ一瞥するも、遮断するわけでもなく、一応話は聞いてくれるようだ。
「私が行くと思うの?」
「それがね、ミステリーサークルのメンバーの吉川さんから人数足りなくて誰かいないか、って言われてさ。」
「私が行った所で盛り上がらないと思うけど。」
「・・・・ねえ、前から思ってたけど、一華って彼氏欲しいと思わないの?」
愚問、とでも言うように比菜を鼻で笑うと読んでいた雑誌に目を戻した。
「・・・勿体ないなぁ。将来有望な相手らしいしぃ。美味しいって話題のイタリア料理なんだけどなぁ。」
イタリア料理に釣られた一華は合コンの場にいた。
「じゃあ、自己紹介でも・・・。」
吉川さんと相手の幹事がニコニコしながら促すものの、一華は向かいにいるイケメンと言われる男子よりも目の前の生ハムに目を奪われていた。
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