1人が本棚に入れています
本棚に追加
ママが変なの。
朝起きた時か、ずっと。
「今日は、誕生会があるからお外に行っちゃダメよ。」
お誕生会?
誰のお誕生会なのかなぁ、私のお誕生日はまだまだ先だし。ママのお誕生日も違う。私には、パパはいないからわからないけど…。
私とママしかいないのに…誰のお誕生日?
「ねぇ、ママ…誰のお誕生日なの?」
「何言ってるの、お姉ちゃんのでしょう。」
お姉ちゃん?
わたしには、お姉ちゃんなんていないのに。
ママは、ケーキをテーブルに置いく。
コップとお皿が三つ。
「さぁ、始めましょうねー。」
ママは、私じゃない誰かに微笑みながらケーキを切り始める。
「ねぇ、ママどうしたの!!」
「あなたこそ、どうしたの?お姉ちゃんのお誕生日お祝いしてあげなさい。」
私が、変なのかな?
誰もいないのに、ママは誰を見てる。
怖くて怖くて仕方がなかった。まるで、私だけ置いてきぼり。
「お姉ちゃんなんか、いないよ!!」
「酷い事言わないで、お姉ちゃんはいるじゃない!」
そう言いながら、ママはわたしの後ろを指差した。
そして、振り返ろうとするわたしの首にそっと抱きつくように手が伸びてきた。
「…ァア……。」
言葉にならない声。
冷たい腕。
長い髪。
「キャァァァアァァアーーーー!!!」
私の叫び声なんて気にしないかのように、後ろから伸びる手に力が入る。
そして、私が逃げないように私の体をママが押さえつけてくる。
「イヤ、イヤ、離して!!ママ、助けて!!!」
「お姉ちゃんに、プレゼントをあげないとね。」
冷たく微笑むママの顔は、私に抱きつく『お姉ちゃん』の顔にそっくりだった。
最初のコメントを投稿しよう!