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 いかんいかん。なにがなんでも強盗しないといけないのだ。このままでは借金取りが押しかけてくる。  おれはあちこち歩き回った末、やっと別のコンビニを見つけた。時刻は午前三時。  今度こそ、成功しますように……。  おれは祈りながらコンビニのガラス窓に近づいていった。店内の様子を外からうかがうと、とくに変わったところはなさそうだった。  マスクをつけ、帽子を目深にかぶって店に入った。上着の内ポケットの、一度も使っていない果物ナイフにそっと手を伸ばす。  突然、派手なファンファーレが店内に鳴り響いた。 「おめでとうございます!」  レジカウンターに隠れていたのか、陽気な衣装を着た数人の男女が現れた。 「あなたが、当店十万人目のお客さまです」  いくつものパーティクラッカーがはじけ、目を白黒させて呆然と突っ立っているおれに花束が押しつけられた。カメラのフラッシュがたかれる。 「これは記念品です」  リボンのかかった小さな箱を差し出され、「ご感想は?」とマイクを突きつけられる。  おれは脱力した。決死の覚悟で臨んだのに、こんな状況で強盗なんかできるわけがなかった。  ひとしきり引き留められたのち、やっとそのコンビニから解放された。
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