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レオは気づくと、冷たい空間にいた。
生暖かかった体が、芯から冷える。
両隣には、レオと同じ大きさのペットボトルが並んでいた。右隣はオレンジジュースで、左隣は天然水だった。レオは自分の体を確認する。紫色をしていた。泡が存在することから、炭酸だと予想できる。
目の前には、ガラス越しに明るい世界が広がっていた。それぞれ違う顔の人間が、通り過ぎる。人間の中には、レオの前で立ち止まる者もいた。
「ねぇ」
高い女の声がした。
レオは最初、右隣からの声だとは気が付かなかった。周りを見渡して、自分の右にいるペットボトルと目が合ったことで初めてその存在に気づく。
オレンジ色の液体が入ったペットボトルに顔がついている。自分も彼女と同じように顔がついているのか、とレオは思った。
「あたし、ミカ。あなたは?」
オレンジ色のペットボトルが言った。ミカの大きな瞳に、レオは胸が熱くなるのを感じる。
「僕はレオ」
「へぇレオくんか」
ミカはオレンジ色の液体を揺らして嬉しそうに微笑んだ。
「レオくんが初めての友達だぁ」
レオは彼女をなんと呼ぶべきか迷った。
初対面であることを考えると、無難に『ミカちゃん』が良いだろう。
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