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「誰から行く?」
と、俺。
「私が行く」
と、一番に手を上げたのは麻琴だ。
続いて、威、優夏、優恭、薫子(俺)と順番が決まった。
トンネルを難なく通り抜けた俺達。
最後のフィナーレともいえる時計の確認の時が来た。
俺達は円陣を組んで、
「せーので出すぞ!」
と、威が音頭を取り。
「せーの!」
と、一斉に皆が腕を出す。
5本の腕が差し出されて……否、腕が6本ある!
「おしまい!」
と、猛然の勢いで優夏が終わりを告げる!
パシャ。
と、スマホのカメラのシャッター音が聞こえた気がした。
俺達は黙々と通り抜けたトンネルを引き返し。無言で帰宅をした。
翌日。
ピンポーン。
と、俺のスマホが鳴る。
LINEには添付画像が貼られ、怒濤のごとく皆が会話を始めていた。
見ると画像は昨夜のもので、一斉に皆が腕を出した瞬間だった。
その画像には腕が6本あった。時間はというと、見事に異なる時を腕時計は示していた。
”大成功”とスタンプを押して来た優恭に、俺は苦笑いをしつつ会話に加わる。
あの白く細い6本目の腕。腕時計はアナログだった。
「怪異はまだ世の中にあるんだな」
ぼそりと口をつく言葉が出た。
完
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