俺の職場の輝く天使

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「これは『夏祭り』ですね」 「ああ。それだ!」  記憶の糸が繋がってすっきりとする。懐かしい。女の子のバンドがカバーしていたハズだ。  西園は口元に手を寄せ目を細めた。 「部長もこういう音楽聞いてたんですね」  俺はサンドイッチのかけらを口に放り込み、眉を吊り上げる。 「西園君の私に対するイメージは、いったいどんな男なのかと不安になるな」 「ふふふ。だってスーパードライじゃないですか」  彼女は上目遣いに俺を見上げてきた。口元はいたずらを思いついた子供みたいに緩んでいる。俺はふっと息を吐いて両腕を組んだ。 「まあ、良いか。それが俺の狙いなんだし」  西園は両手でコーヒーカップを挟むように持つ。そして面白そうに三日月の目を作った。 「また俺って言った……」  小さな肩が小刻みに揺れている。 「良いだろう? 今はプライベートなんだ。西園君も役職呼びは止めてくれ。折角の休日なのに仕事っぽさが抜けない」  彼女はコーヒーカップを持ち上げ、口元を隠しながらこちらを見た。 「じゃあ、部長も西園君は止めてくれますか?」  意外な交換条件に、俺はこほんと咳払いをする。
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