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部長室に来たときに誘えば良い。でも、仕事とプライベートを一緒にするのはどうかと思って切り出すことが出来なかった。大体西園の方からその話題を振ってくることも無い。タイミング良くエレベーターで会うことも無かった。
「お盆休み入っちゃうよ? 西園ちゃんお前のこと忘れちゃうんじゃない?」
「大袈裟な。仕事で接点があるんだから、忘れたりはしないだろう」
「いやぁ分からないよ。近藤ちゃん、女心となんとかってね。実際、男より女の方が淡泊なもんよ?」
「忘れたら忘れたで構わないさ。別に約束した訳でもない」
眉間にシワを寄せ、グラスを持ち上げる。
(一緒に行かないか――は約束でないとでも?)
自嘲気味に口元を歪めた。佐々木は太い腕を組んで見下ろしてくる。
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