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すると西園はフォークを置いて、赤味の残る顔をこちらに向けてきた。綺麗に透き通った茶色の瞳が潤んでいる。
「近藤さんと一緒なら、どんな料理だって美味しいから……」
「!!!」
予想を超えた台詞に、凝り固まった思考回路が追いつかない。眼鏡のブリッジに添える指が分かり易く震えた。
――近藤さんと一緒なら……
――近藤さんと……
――近藤さん……
耳の奥で彼女の声がこだまする。彼女の声が――彼女の笑顔が俺の内側から全身へ広がっていく。クリームよりも甘い、甘美な存在。
俺は漸く眼鏡の位置を調整し、正面の顔を見る。
そこにはふにゃりと緩む、幸せそうな笑顔があった。
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