俺の職場の輝く天使

27/30
1081人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「何を忘れるんですか?」  人懐っこい西園が、佐々木の話に入ってくる。 「西園ちゃんがこいつのことをね、忘れたんじゃないかーって心配してたの」 「おい! 余計なこと言うな」  佐々木が至近距離でカカカと笑いながら、俺の頭をベシベシと叩いた。佐々木は一つひとつの動作が強力で、よくもまあ料理なんて繊細なことができるもんだと毎回関心する。  西園は唇に人差し指を当て、俺たちの顔を覗き込んだ。 「私が近藤さんのことを? ……何言ってるんですか。忘れる訳ないじゃないですか」  さも当然と返した台詞に、俺はピクリと眉毛を動かした。佐々木は面白がって「そう?」と聞き返す。 「いっつも内線で呼び出しては急ぎの仕事を振ってくるんですよ。……こんな恐い顔をして」  そう言って眉毛を吊り上げて、中指で眼鏡を押さえる真似をする。 (俺のイメージって……)
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!