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「寂しいくせに」
「はっ。今までと何も変わってない。それより佐々木。今日はカレーを頼む」
「ハイハイ。カレーね。本当に面倒くさい男だな」
「余計なお世話だよ」
佐々木は奥の厨房へ下がって行った。俺は顔を上げテラスへ視線を向ける。カップルが二組、楽しそうに食事をしていた。
――でも私は、今日の部長の方が好きですよ?
耳にこびり付いた台詞。彼女がどんなつもりで言ったのかは分からない。
(どうせ深い意味なんて無いんだろうが)
「女心と秋の空、か」
ぽつりと独り言ち、カウンターへ視線を戻した。
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