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そうして僕は出版社を出で東京の人混みを避けながらアパートに帰る為に午後六時三十分発の地下鉄に乗った。出版社からアパートまで地下鉄に三十分乗り、さらに、バスで三十分かかる。
地下鉄に乗ると帰宅ラッシュと被ったらしく、次の駅で人が電車へと水の様に流れ込んできた。満員電車の中は様々な匂いがした。サラリーマンの汗の匂いやアルコールの匂い、女子高生の香水の匂いや若い男性の整髪料の匂い、電車の椅子の独特の匂い、空調機のカビ臭い匂い。それぞれの匂いが混ざり合い僕の鼻を刺激する。堪え切れなくなったと同時に目的の駅に着いた。
地下から地上に出ると蒸し蒸しした暑さが僕を襲った。ここからバス停は近いが、まだバスが来るまで時間がある。そう思い、先に夕食を買いにコンビニエンスストアに行く事にした。
一番近くのコンビニエンスストアは地下にある為、もう一度地下に潜る。コンビニエンスストアに入ると会社帰りのサラリーマンが数人居た。どの人もくたびれた顔をしている。
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