一話 煬帝、妹子にブチギレ

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そして隋に到着し、遣隋使一行はお偉いさんのいる宮殿へ。 お偉いさんの名前は煬帝(ようだい)。 隋のトップである。 「おおー。倭国の者どもだな。よくきたな」 当時の隋には「中華思想」という考えがあり、読んで字の如く、隋は世界の「中」心であり「華」やかな国である、という「思想」。 なので隋は周辺国と対等な外交は結ばない。 必ず隋が上に立って、相手に頭を下げさせていた。 今回の、倭国との外交も、そうなる構図になると煬帝は当然のように思っていた。 「よろしい。顔を上げい」 妹子は顔を上げる。 「いやオッサンやないかww」 煬帝は心の中で突っ込んだ。 「(…妹子って名前だからてっきり女の子かと思ったわい)」 煬帝が実際こんなこと思ったかどうかは別として(100パー思わないが)そもそも「妹子」の由来は何なのか。 今でこそ名前の最後に「子」がつく=女性というイメージがあるが、当時は男性でも名前の最後に「子」をつけていた。 その証拠に「孔子」「孟子」は共に男性。 ちなみに「妹」という字は、もとは「居守」、つまり家に居て守るというのが語源と言われている。 妹子は、聖徳太子から預かっていた手紙を煬帝に渡す。 煬帝は早速その場で手紙を読み出す。 手紙を読むや否や、煬帝の顔はどんどん険しくなる。 手紙を持っている手がわなわなと震えだす。 小野妹子は心の中で、 「ちょっと待って、何かよー分からんけど絶対キレてるやんあの人」 と、焦り出した。 「あー妹子詰んだなww」 と、煬帝の側近がぼそっと呟いた。
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