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もしも魔法少女の一生が終わったら
もしも魔法少女の一生が終わったら
the1343401th(ホシ)
小さい頃のことをよく覚えている。私は泣き虫で、臆病で、何より輝いているものに、目を惹かれていた。
そうして私は小学五年生の頃、魔法少女になった。
それは誰にでもなれるというものじゃなかったし、まるで神様から皆を守れというお達しかのように思えた。でも本当のことは、今になってもよくわからない。
初めて魔法少女になった時は酷かったな。私は脚が震えて、逃げ回ってばかりで、結局他の魔法少女が応援に駆けつけて、戦いを終わらせていた。
私が泣き止んだころ、街はボロボロになっていた。それを見た瞬間、私は強くなろうと決心したんだっけ。
魔法少女には、「少女」というのだから、当然年齢制限があった。いつ魔法少女から卒業するのか、それは魔法少女によって区々だったけれど。
私にとって、それは昨日だった。
戦闘が終わって、魔法少女から普通の人間に戻るとき、僅かな違和感を覚えた。よくよく見ると、魔法少女だけが持つ、輝く結晶、スピノ、これが真っ黒に染まっていた。
私はもう魔法少女になることができなかった。
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