大嫌いな彼と僕の7days

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「どういたしまして。あ、破れてんな。」 開里のレインコートが破れているのに気付いて、日下が言う。バサッ―――と、いきなり日下がレインコートを脱ぎ、それを開里の頭から被せた。 「先輩!?」 「よし。立てるか?」 狭い視界の中で日下が右手を出してきたので、開里が条件反射で握ると、ぐいっと引っ張られた。 「いっ―――」 「歩けそうにないな。」 そう言うと、日下が背を向けてしゃがむ。 まさか―――と、開里が固まると、日下がしゃがんだまま振り返る。 「ほら、乗れ。」 「いやいやいや、無茶ですよ。」 「雨宿りの場所までだから平気だって。おまえ、無理すると腫れて動けなくなるかもしれねえぜ。」 その通りだ。動けなくなれば留まるしかない。悠長に休んでいられないのだから、足を動かさないのが賢明な事は分かる。 分かるが、素直に背負われるのもできない。 動かない開里に察したのか、日下が分かりやすく不機嫌な顔をする。 「濡れるだろうが、早くしろ。」 「あぅ、すみません。」 見れば、日下の全身はずぶ濡れで、開里は諦めて膝を落とした。 「行くぞ。」 ひょいっ―――と、あまり力が入っていないような素振りで日下が立ち上がる。ふわっと浮遊する感覚に、開里は慌てて目の前の肩にしがみついた。     
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