大嫌いな彼と僕の7days

6/20

182人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
4、 焚き火で暖めたサバの缶詰を開里はもそもそと食べている。 缶詰を侮るなかれ、これがかなり美味い。 壊れたスーパーを漁れば、バリエーション豊かな缶詰がゴロゴロと発見される。贅沢な事を言わなければ、缶詰がある限り、食べ物には困らないだろう。 ―――缶詰、万歳。 パチパチと火の粉が飛んでくる。 この火を起こしたのは、もちろん日下だ。インドアな開里にサバイバルのスキルはゼロである。 さらりと何でも出来てしまう日下を、カッコいいなどと思ってしまっている事は内緒だ。 そんな訳で、日下がいなければ何も出来ないと云う、相変わらず不本意な事態である。 「ほら、食えよ。」 「え、それ、おしるこ?いりませんよ。甘いの苦手って知ってるでしょ。」 暖めていたらしいおしるこ缶を日下に突き出され、開里は顔をしかめた。 「糖分も必要だろ。砂糖はエネルギーになりやすいとか聞いた事あるぜ。疲労も回復すんじゃねえ?」 「もうお腹一杯なので、結構です。」 「相変わらず、少食。食わねえと倒れるぞ。明日はチャリ見つけねえと。」     
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加