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4、
焚き火で暖めたサバの缶詰を開里はもそもそと食べている。
缶詰を侮るなかれ、これがかなり美味い。
壊れたスーパーを漁れば、バリエーション豊かな缶詰がゴロゴロと発見される。贅沢な事を言わなければ、缶詰がある限り、食べ物には困らないだろう。
―――缶詰、万歳。
パチパチと火の粉が飛んでくる。
この火を起こしたのは、もちろん日下だ。インドアな開里にサバイバルのスキルはゼロである。
さらりと何でも出来てしまう日下を、カッコいいなどと思ってしまっている事は内緒だ。
そんな訳で、日下がいなければ何も出来ないと云う、相変わらず不本意な事態である。
「ほら、食えよ。」
「え、それ、おしるこ?いりませんよ。甘いの苦手って知ってるでしょ。」
暖めていたらしいおしるこ缶を日下に突き出され、開里は顔をしかめた。
「糖分も必要だろ。砂糖はエネルギーになりやすいとか聞いた事あるぜ。疲労も回復すんじゃねえ?」
「もうお腹一杯なので、結構です。」
「相変わらず、少食。食わねえと倒れるぞ。明日はチャリ見つけねえと。」
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