持ち物には名前を書きましょう

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「自分のものには名前書かなきゃだもんな」 「ん?」 「元いたところでは、そういわれるんだ。大事なもの、自分の持ち物には名前を書きましょうって」 「そうなのか?」 「うん」 オレの体の前で組まれた腕に、ぎゅうと抱きつく。 「それは、大事なことを聞いた。じゃあ、俺はルウに自分のものだと印をつけなくちゃいけないな」 あの夏。 オレは生まれた世界を離れて、拾われた。 どうしたらいいのかわからなくて途方に暮れるオレを、ここに連れてきたのはトバ。 どうしたいかと問われて、ここにいることを選んだのはオレ。 大事だといってくれたのは、サファテ。 オレは変わった。 でも、後悔はない。 だってこの変化は、この世界で暮らしていくための、成長だ。 サファテが印をつけてくれたら、きっとオレは落とし物じゃなくなる。 サファテの腕の中で回れ右をして、オレは、ちゅ、とサファテの唇を食んだ。 「呼んで。いっぱい。オレの名前」 <END>
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