背中でゆらゆら揺られて

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「どんなお前でもいいんだが、もう少し頑丈になってくれないと、壊しそうで怖い」 「そんな簡単に壊れねえよ。それにオレ、だいぶ太った……ていうか、胴回りも肩幅も、増えた」 「こんなに細くてか?」 「昨日、こっちに来た時の服が出てきて……着れなくなってた。オレが育ってた」 「それは何よりだ。その調子でしっかり育ってくれ」 オレを背負っていても、サファテは隊列から遅れることなくついていく。 まあ、先頭じゃなくて負傷者と面倒見てるやつが固まってるほぼ最後尾なんだけどさ、それでも特に苦労している様子がないのが、すごいなと思う。 「なあ、これ、帰ったら、トバにも叱られるよな」 「間違いなく」 ふと思いついて問うたら、ものすごくあっさりと答えが返ってきた。 サファテも過保護だけどトバも過保護だ。 大きな傷はなくても、服をだめにしてサファテに背負われて帰ったら、それこそしばらく冒険者の仕事はできないかもしれない。 「じゃあ、一緒に叱られてくれ。そんで、トバがしつこかったらオレ家出すっから、サファテのとこ泊めて」 「ルウがオレの家に来てくれるのはうれしいが、家出はやめておけ」 「えええ~」
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