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一緒に暮らしていて、トバとオレの仲を勘繰るやつがいた。
けど、結局そうはならなかったしすぐに誤解が解けたのは、トバがこうしてオレを小さな子供みたいな扱いをするからだ。
「トバ……」
サファテの呼びかけに、不機嫌を隠さずになんだとトバが応じる。
この二人は仲が良いようで悪い。
その声にサファテがたじろいだ。
「お前に対して不機嫌なわけじゃない。思うところはあるけどな……このケガだって、どうせお前の制止を振り切って、突っ込んでいったのが原因だろう」
「ああ。ルウの戦い方は、捨て身過ぎて心臓に悪い。今日は特にひどかったんだが、何かあったのか?」
ガタリと椅子が動かされる音がした。
ベッドの横にたっていたサファテが腰をかけたのだろう。
母親を思い出させる優しい手つきで、トバはオレの髪を撫でる。
その指は節くれだっていて、かさついていて、オレの母親とは似ても似つかない大きな手なのに、手つきだけは優しい。
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