トバの腕の中

2/4
前へ
/38ページ
次へ
「嘘っマジで?!」 跳ね起きてそういったら、ぺちん、と顔を覆うようにトバにはたかれた。 「狸寝入り」 「ちげえし! 気持ちく寝てたら、トバが!」 そうだろうなといいながら、トバがふふふと笑う。 どういうことだと追求したいのに、トバがオレの頬をもみもみともみはじめるから、オレが文句をいっても何をいってるのかわからなくなる。 「トバ」 サファテが助け舟を出してくれた。 「うるせえよ。俺はお前にも思うところがあるって言ってんだろうが。……アリューヒ」 「うん」 トバはオレの名前を呼ぼうとして、いつも正しくない発音になる。 オレのホントの名前は、トバには難しいらしい。 サファテにとっても難しいらしいから、こっちの人には発音しにくい名前なんだろう。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

103人が本棚に入れています
本棚に追加