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「落ちていたお前を拾ったのは、そういう理由……俺の育ての親と同郷だと思ったからだ。だから、戸惑うお前が予想できたし、ゆっくり考えればいいといった。好きにすればいいともいった。お前はそれなりに考えて、ここに根を張った。そうだな?」
「……うん」
「後悔しているか?」
ゆっくりと問われて、考えた。
後悔?
トバの顔を見て、サファテの顔を見た。
オレは、気に入っていたシャツが着れなくなるくらいに、体つきが変わった。
自分の手で命を摘むことに、罪悪感を持たなくなった。
あの頃のオレとは、全然違くなってしまって、もう、帰るのは気持ちが無理だって思っている。
だけど、後悔?
「違う。トバ。後悔じゃない」
「そうか」
よしよしとオレを撫でてトバが笑った。
笑ってオレを抱き寄せて、サファテに聞こえないように耳元で囁いた。
「ところで確認するが、お前、まだ処女なのか?」
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