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「今、お前はオレの恋人ってことになってるけど、それはトバが認めてるからだよな」
「どいうことだ?」
タオルで全体を拭いてから、さらさらと指を通して感触を確かめているみたいだ。
恋人ってことになってるって、サファテがいった。
オレの大事な男が、『てことになってる』って、オレのこといった。
「オレは、サファテの、恋人じゃないの?」
「恋人だ」
「だって……」
ぎゅうっと背後から抱きしめられる。
サファテの存在で包み込まれてるみたいだって思うのに、今ちょっと泣きそうで、唇をかんだ。
「俺が、ちゃんとお前の重しになれと、ハッパかけられた」
「へ?」
「だからちゃんと体をつなげて、お前にそれを実感させろってさ。いつまでも拾われっこみたいに不安げでふらふらしてんのは、俺がヘタレてるからだって」
だから、抱いていいか?
熱い息と一緒に耳に落とされた言葉。
ふるりと体が震える。
怖いって思った。
でも。
サファテの手も震えていて、一生懸命考えて告げてくれたんだって、わかった。
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