あの夏の夕方

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騎士団なんてかたいところに勤めているくせに、どこの誰ともわからないオレを、誰よりも大事にしてくれるサファテっていうオレの男もできた。 男の恋人が男っていうのはこっちでは珍しくないとかで、そうなればもう、世界超える以上に怖いことないんじゃね? って、若干やさぐれてたオレは、同性っていう壁を軽々乗り越えた。 そうはいっても、まだ清い関係だけどな。 サファテはオレを大事にしてくれる。 この世界で戸惑うオレを受け止めて、性別で悩むオレを待つといってくれて、この世界の男では珍しいほど華奢なオレを抱くのが怖いのだという。 オレはそこそこ安定して楽しくて、満たされた生活を送っていると思う。 だけどオレはまだ、あの夏のまま、ここにいる。 そんな気がする。
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