現状、オレの暮らし

2/3
前へ
/38ページ
次へ
オレは王都とは別の、ほどほどに大きい城壁のある街の中、下町と呼ばれる地区で保護者のトバと住んでいる。 表通りに面したところに三階建石造りのギルドの建物があって、ちょうどその裏手。 時間にかかわらずに、声がかかるのはちょっと面倒だけど、にぎやかで出勤楽で、なかなかいい。 城壁に囲まれた街の中は、対魔物という意味では比較的安全。 街の周囲に村や農耕地があって、その向こうに森があるところが多い。 そんな風景を見て、オレは、里山みたいだなと思う。 冒険者の仕事は、冒険探検宝探しってところかと思っていたけれど、人それぞれってことで、オレはもっぱら便利屋的に隊商の用心棒とか、町の近くに出た魔物退治にいそしんでいる。 トバとサファテが、家を空けるのを嫌がるのだから、それくらいしかない。 生活の基盤を作れそうだと思った三年前に、「一人で暮らして自分の食い扶持は自分で稼ぎたい」と申し出たけど、二人そろって悲しそうな顔をされたので諦めた。 小遣い稼ぎ程度に冒険者の仕事に出て、あとはトバの家にいるか、サファテの家で家事をするか。 ニートじゃん。 そうは思うけど、そこはね。 オレもこの世界にきて五年たつけど、まだちょっとばかり心細かったりするので、いまだに甘えてしまっている。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

103人が本棚に入れています
本棚に追加