31人が本棚に入れています
本棚に追加
まだ執事喫茶の名残を残している、電気もついていない教室。
俺はそこでぼーっと外を見ていた。
外からは、特設ステージでやっているライブの音が聞こえてくる。
生で見たいとも思ったけど、
さっきのことがあったし、人が多いところには行きたくなかった。
人前に出れば、「彼女と熱烈なキスをしていた男子」という目で見られるからな。
あのとき、瀬戸はどう思っただろう。
もしかしたら、何も思わなかったのかもしれない。
いや、そうに違いない。
むしろ、いい気味って思ったんじゃないか。
いつも瀬戸を乱暴に扱ってる俺が、逆に乱暴に扱われていたんだから。
「あ・・・」
小さな声がして、振り向く。
この声はおそらく・・・
「・・・瀬戸?」
「・・・・・・うん」
瀬戸は教室の中へ入ってきた。
近づいてようやく月光が瀬戸に当たる。
「俺に用?」
「あ、いや。ちょっと・・・・・・一人になりたくて」
「そっか。じゃあ俺は別んとこ行くわ」
「・・・・・・」
なぜかわからないけど、ちょっとだけ気まずい雰囲気がして、
俺は教室を出ることにした。
さっき屋上も人がいたんだよな・・・
さて、どこに行こうか。
最初のコメントを投稿しよう!