完璧男子に類なし school festival

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「・・・ふ、ぅ、た、たちばなぁ・・・」 「あーもう泣くな!うぜぇから」 「ちが、違うんだって!俺・・・どうしたらいいか、わかんなく・・・って」 「はぁ?わかんねぇのはこっちだ!・・・なした?」 「あの、あの子が・・・あの子が・・・っ」 あの子? 小泉のことか? 「あの子が、橘のこと・・・名前で呼んだ。橘と学校祭・・・一緒に見て回った。  橘とキスした。橘と、橘と・・・」 「瀬戸・・・」 「そう思ったら、あの子が嫌で、ムカついて、でも羨ましくて・・・  あの子に何かをされたわけでもないのに、そんなこと思うなんて俺・・・どうかしてる」 「・・・・・・そういうことか」 馬鹿だ、こいつは。 学年1位のくせに、 その感情を言葉で表すことができないなんて。 「ふ、ううっ、俺、俺・・・酷い人間だ」 「・・・そうだな。お前は酷いな。知らなかったのか?」 「っ!」 瀬戸と少し距離をとり、顔を両手で挟む。 「お前は酷くてずるくて、馬鹿で鈍感で、淫乱でどエロで、頑固だけど弱くて・・・」 「う・・・っ」 「あんな女に嫉妬して」 「え?・・・しっ・・・と?・・・・・・あ、あぁっ」 瀬戸は固まっていたけど、ようやく気づいて赤くなる。 まったく、馬鹿すぎだ。 「俺の知ってるお前は、全然、完璧男子なんかじゃねーよ」 そう言って俺は、瀬戸の右手を取る。 ・・・・・・そっと甲に、キスをした。 「俺だけが知ってる・・・お前は、な」 本当に瀬戸は馬鹿だ。 何を嫉妬する必要があるんだ。 こんなに・・・・・・身体も心も愛してやってんのに。 「・・・はは、そうだね、橘」 ようやく笑顔を見せた瀬戸を、 俺はもう一度強く、抱きしめた。 「つーかお前さ、バカな女どもと写真撮りすぎ」 「し、仕方ないだろ、みんなが決めたイベントなんだから」 「瀬戸、学祭終わったらあの執事服着てうち来い。たっぷりしてやっから」 「ええっ」
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