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「うぉ、イケメンが泣いてる」
「…!?」
びっくりしたびっくりしたびっくりした!!!
目の前の草花を見つめながらぽろぽろ泣いていたら、急に目の前に人が現れた!
え、え!?だれ!?
混乱して膝を抱えたままの姿勢で、ぱちくりと瞬きを繰り返す。びっくりしたせいか涙はぴたりと止まっていた。
腰を折って覗き込んでくる人物を見上げると、顔は逆光でよく見えないけれど、太陽の光を浴びた赤っぽい髪は、キラキラと光っていてとてもきれいだった。
「大丈夫か?」
「…ふぇ?」
すっと手を差し出されて、なんとも情けない声が出た。大丈夫か、って、おれのこと心配してくれた?
未だ逆光のままのその人は、表情こそ見えなかったけれど、少し困ったような顔で笑って手を差しのべているような気がした。
(…ヒーローみたいだ)
小学生の頃、テレビの中のヒーロー達は、ちっさくてひょろひょろだったおれの憧れだった。
かっこよくて男前で、でもたまに可愛いところがあって、泣いている子どもたちを助けに来るヒーロー。
そんな、ピンチのときにはいつだって駆けつけてくれるスーパーヒーローみたいに、その時のおれには見えたんだ。
「…あり、がと、おおっ!?」
おずおずと手を差し出すと、ぐっと強く握られて思いっきり上に引っ張られた。その勢いで思わず立ち上がったけど、2、3歩前によろける。
急な展開に、再び目をぱちくりぱちくりしていると、ヒーローはぶはっと吹き出すように笑った。
「おっ前、でかいのに小動物みたいだな」
俺よりでかいし、と言いながら、目の前でははっ、と楽しそうに笑う。
立ち上がってやっと見えたヒーローの顔は、くしゃっと笑ってはいるが、目が大きくて鼻がすっと高くて、とっても男前だった。
…かっこいい。
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