金魚

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会社帰り。 知らなかったが、通りがかった小さな神社で夏祭りをやっていた。 連日の猛暑で額からは汗が流れ落ち、喉はからから。 家に帰っても誰も待ってはない。 別に、立ち寄って一杯やっても、問題はないだろう。 軽い気持ちで通勤路から外れ、神社の方へと足を向けた。   定番の金魚すくいや射的を横目に、焼き鳥屋で適当に何本か購入し、さらにビールを買うと空いている席に座った。 紙コップに注がれたビールをごくごくと勢いよく喉に流し込む。 「ふーっ」 吐いた息の中には、仕事の疲れと幾ばくかの淋しさが混ざっていた。 焼き鳥を口に運びながら周りを見ると、華やかな浴衣の女性たちになんとなく目を伏せてしまう。 ……やはり、来るべきではなかった。
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