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……
それから数週間後。
「佳乃、さあ行こうか」
「うん、お父さん」
父と腕を組みながら、
静かにバージンロードを歩く。
30歳の誕生日に、
すべてを失ったはずだった。
…そんな私の前に、彼が再び現れた。
「さあ、これからは和真くん、頼んだぞ」
「はい、任せてください」
なんかね、
男に人生任せて幸せにして貰う女なんて、
心の奥底でバカにしてたんだ。
私は1人でも平気だよって。
自分の力で幸せになれるんだからって。
誰かに幸せにして貰うなんて、
弱い人間のすることだとすら思ってた。
「さあ、佳乃、行こうか」
「…ぐすっ」
「な、何だよ、もう泣いてるのか?」
「そうだよ、悪い?」
でもね、違ったの。
「バカだなあ。本当に可愛いんだから」
「うるさいッ。…和真もカッコイイよ」
「さあ、無駄口を叩いてないで。
これから誓いの言葉が始まるぞ」
「はい、もう黙ります」
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