[佳乃編]恋するプラナリア

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とんでもなく満ち足りた気持ちと、 これから冷めていくかもしれないという 不安が絶妙に混ざり合い、 私の心の中は大賑わいだ。 たぶんこれは、 1人では味わえない感情で。 そして和真も 同じような思いを抱いているに違いない。 誰かに幸せにして貰うということは、 その人を失うと不幸になるということで、 相手も同様に、 私のお陰で幸せになっているはずだし、 私を失うと不幸になってしまうのだ。 依存でもなく、 寄生でもない。 お互いがお互いを必要としているだけ。 すなわちそれが、愛というもので、 恥かしながら私たちは愛し合っている。 >幸せな時も、困難な時も、 >富める時も、貧しき時も、 >病める時も、健やかなる時も、 >死がふたりを分かつまで愛し、慈しみ、 >貞節を守ることをここに誓います。 友人たちの結婚式で、 何度も聞いたこの言葉を改めて咀嚼する。 死ぬまで相手を愛せよと。 それはなんて無謀で、 …壮大なミッションなのだろうか。 少しでもこの愛が続きますようにと、 願いを込めて。 私と和真は長い長いキスをした。 --END--
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