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世界の終りの景色を見せてあげるよ、とAに教室へ呼び出された。
教室の扉を開けると、世界が終わっていた。
教室の床一面が血で染まっている。制服を着たまま同級生たちが息絶えている。誰もが死んでいた。血だらけで、恐怖を瞳に焼き付けたまま見開いている。床に倒れていたり、机にうつぶせになっていたり、誰もが微動だにしない。黒板には誰かの血の手形がこびりついている。皆殺し。めった刺し。あまりに濃密な血の臭いに胸がむかつく。
殺戮の教室の真ん中にAは立っていた。Aは僕を見つめて微笑んだ。Aも返り血を浴びて、赤くぬらぬらと輝いて見える。
「僕がみんな殺したんだ」とAは言った。「あっけなかったよ」
「なんでだよ」と僕は言った。「なんでこんなひどいことを」
「みんな弱虫だったよ」とAは言った。「普段あれだけ威張っているくせにさ、僕が包丁を振りかざすと泣き喚いたよ」
「ひどすぎる」と僕は言った。「皆殺しにするなんて」
「だってさ」とAが言った。「君が望んだぜ。こいつらを殺してやりたいって心から願っていたじゃないか。その願いを僕が叶えてやったのさ」
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