血にまみれて笑う

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「僕がこいつらを殺さなきゃ」とAは言った。「君がこいつらに殺されていたんだぜ。君を追い詰めて、自殺させて、本当に死にやがったって腹を抱えて笑うようなやつらだよ。死んで当然の人間だ。殺虫剤で害虫を駆除するのと同じ、罪悪感なんて抱く必要はないんだ」 「気分はどうなの」と僕は言った。「こんなにたくさん人間を殺してさ」 「悪くないよ」とAは言った。「僕にはこれだけの力が眠っていたんだ。君だってさ、もう不登校とか引きこもりとかやめてさ、どっかに旅に出たらいいんだよ」 「旅か」と僕は言った。「さすらいの一人旅も悪くないね」 「そうさ」とAは言った。「世界を放浪して、たくましくなるんだ。もういじめなんかに負けちゃいけない。君をいじめる奴は皆殺しにしてやればいい」 「うん」と僕は言った。「僕は強くなる。いじめになんかに負けない」  ほら、とAは僕に包丁を手渡した。  なにこれ、と僕はAを見る。 「君をいじめる奴らがやって来たぞ」とAは言った。「負けるな。泣き寝入りなんかするな。勇敢に戦え」  うん、と僕はうなずく。  Aは優しく微笑んで、そのまま消える。  騒々しい声とともに、教室の扉が乱暴に開く。  僕をいじめる奴らが立っていて、何か叫んでいる。  僕は包丁を振りかざし、拳銃を構える警察官たちに躍りかかる。  僕の体を銃弾が貫く。  僕は笑っている。 僕は笑っている。
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