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大神に与えられていた魔法がすっかり消えてしまった。
かろうじて、魔法が残った者が、高い賃金で口ばかりの労働をするばかり、人々は快適だった魔法ばかりを求め、徒労し、大神を殺したゲネンを憎んだ。
ゲネンの……勇者と呼ばれ、驕った振る舞いも……人の心を逆なでするには十分であった。
激流のように人々の怒りについていけず、最後の、磔にされた時さえ叫んでいた。
「身体が奪わず、喜んだのは、誰だ!」
人々は、青年の言葉にほんの一時、心をざわめかせ、爪で引っ掻いたように傷ついた。
処刑場を後にして、日常へ戻っていく。
魔法を使えなくなったことを呪いながら……
また、青年の名前は忘れられ、人々は失われた大神の代わりを探す旅に出た。
旅をする者には勇者と称されたのだった。
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