れるれら

2/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
 これは、小学生が名札に十円玉を隠し持っていた頃の話です。携帯が普及し始めたものの子供用はまだなく、十円でそれなりに通話が可能だったからこその出来事でした。  多かれ少なかれ、女子というのは占いを好み、それが動物霊頼りでさえやろうとする。それも、紙と筆記具、十円玉が有れば出来る儀式でさえも。  地域差はあれど、鳥居に五十音、それに数字や肯定否定を紙に書く。そして、十円玉を紙に乗せ、複数人の指を十円玉に乗せる。  その後で動物霊に語りかけ、知りたいことを尋ねる。すると、その霊が答えを与えてくれる。色々と曰く付きの儀式だが、小学生の好奇心が怖さを打ち負かしてしまうのも珍しくはない。  ある日、グループのリーダーが儀式に使う紙を用意し、グループの一番下っ端に十円玉を提供する様言い付けた。そうして金曜日の放課後、静まり返った教室で儀式は行われたのです。  とは言え、誰も彼も小学生。何度か質問をしたはものの、儀式の半ばで先生に帰る様注意されてしまいます。そして、グループのリーダーは、メンバーを悪者にしつつその場を仕切り、儀式に使ったもの全てを持ち帰ってしまいます。  残されたメンバーは、提供した十円玉を持ち去られた子に同情し、後で返して貰うよう口々に言いました。それから、儀式を行ったメンバーはそれぞれ帰路に就き、帰宅した頃には何を儀式で問うたかも忘れました。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!