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その箱の蓋を開ける、二つ折りに開いた箱の中で指輪が輝いていた。
「え? 何で?」
焦る、戸惑う、ドキドキする。
男が指輪を箱から出す仕草をするので、私は箱から取り出した。
指輪をよく見ると、見覚えのある指輪――――
てか、これ、私のだ!!
毎日見てた
分かる
結婚指輪だ!!
圭君がくれた結婚指輪だ!!
間違いない、内側に【恵子、圭、ハッピーウエディング】って彫ってある!
「やり直せないかな、俺ら......」
圭君だ、圭君だ、圭君だ!!
私は左手の薬指に指輪をはめて、カウンターから飛び出し、思い切り圭君の胸の中に飛び込んだ。
「バカバカバカ、圭君のバカ~」
やっぱり私には、圭君しかいない、何があっても好きだから、もうずっと一緒にいるから!
圭君のTシャツは、私の涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった。
「待ってて、Tシャツある――」
言い終わる前にもう一度顔が胸板に押し付けられる――
髪をかき乱されながらどんどんと力が入ってくる。
痛い、痛いよ......でも、でも嬉しいよ......
「もう、絶対離さないから」
「......うん」
二ヶ月後、私は飛行機の窓から唯一出来たコンビニのある町の場所を探した、本当に田舎、でも色々な事を教えてもらった気がする。
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