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俺は廃棄カゴから、それを引っ張り出して交換した。さらにジャンプからヤンマガに切り替えて立ち読みをしていたら、何やら店の奥から電話のコール音が…
それを聞いた、隣で乱れた本を直していたスタッフが、店の奥へと消えた。
ふむ。それじゃあ、そろそろレジを済ますかな。と、カゴの中を覗いたら…
「嘘ぉ!」
入っていたのは幕の内!
なになに?どういう手品なんですかぁ?
すぐまた弁当コーナーへ行ったらば、今度は廃棄カゴは空っぽだ。っと思ったら、おいおい、なんでレジ横に移動してるんだっての。
もういい!とっととお金を払いましょうと、財布を出したら、なんとレジは…
「おーい!むじんくんかっ!」
バックヤードから慌ただしく出て来たのは、しっかり着替えたさっきのスタッフだった。
「どうも…」
丁寧に一礼するが早いか、俺の横をあれよと通り抜けて行ってしまった。
いやいや、急用かどうか分からんけど、レジ打ちしてから行けよって。どうすんだって。無人で、あんた!
あっけにとられている俺に、奥から声が…
「ゴメン。そっちの取置き弁当持って来て」
ん?この声は、お昼担当の娘では?
休日に店に来て見たことがあるけど、十年に一人っていう、あのアイドルにそっくりな美少女だ。シフトを替わってやったのかな?
「ちょっと早く!あたし夜食まだなんだからね!」
早く!って言われても、取置き?って、この弁当のことなのか?
「早くしなさいよ!」
うわっ、やっぱりあの娘だ。こんなにキツそうな娘だったのか…。で、やっぱりこの弁当がそうなんでしょうかね。
なんだか分からないけど、しょうがないから、カーテンの向こう側に、俺は弁当を突っ込んでやったよ。
「サンキュー♪」
白くか細く悩ましい指が、その弁当をしっかり掴んで、すいっと消えた。
ドラキュラバンクかっつーの!などと突っ込んでる場合じゃなくて、扉を開けてお客さんが入って来ちゃったぞ、おい!
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