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ようこそ。
「………暑い…。」
目を開けると、其処には目一杯の青空が広がっており、入道雲がその存在の大きさを魅せていた。
仰向けになっている上半身を起こすと、私は唖然とした。辺りは荒れ地になっており、家電や電信柱、車が倒れていた。しかし、此処に人の気配は無い。
「嫌だ…何、ここ?」
咄嗟に自分の手足に触れると、どうやら怪我はしていないらしい。服も汚れていなければ、痛いところもない。格好は何故か高校の制服を纏っているが。
スカートのポケットを探ると二千十七年八月十日、午前十一時三十二分のホーム画面のまま凍結したスマートフォンが一台。
「え~壊れてるじゃない!」
使えないなぁ~なんて肩を落として後ろを振り返ると、私は開いた口が塞がらなくなる。
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