改めまして、こんにちは。

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「あ、沙都子(さとこ)ちゃーん!」 私は幼馴染みの品川沙都子(しながわ さとこ)ちゃんの背中を見つけると、通学路途中の坂道で自転車を降りた。 「おはよう!」 「おはよう。元気ね、鳥花は。」 「何で?」 「ゴールデンウィーク中の課題。私、サボっちゃったから。今日の古典と英語の課題、徹夜しちゃった。」 「…え?」 「え?」 ゴールデンウィーク中、確かに各々教科により課題が出されていた。だが私はそれらを片付けたのだろうか?早速、わからないことが浮上して顔面蒼白してしまった。 その様子を、不思議そうに沙都子ちゃんが見ている。 「鳥花は?昨日の数学。やってこなくて叱られてたじゃない。やって来たの?」 「え!?そうなの!?」 「…昨日のこと、もう忘れたの?」 まるで、「変な子ね。」そう言うような面持ちで沙都子ちゃんは首を傾げている。 私はと言うと、確かに数学の課題をサボリ、宮内(みやうち)先生にこってり叱られた記憶が薄っすらと頭の底からわきあがってきた。 そして、古典と英語の課題も途中で投げ出していることを思い出した。此処が、私の経験した未来と同じなら…の話であるが。 翔平のこともある。そう都合良く、こと勉強に関してやっているなんてことはないだろう。ましてや昨日、宮内先生にしぼられたようだし。
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