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「それに来週は中間テストじゃない。鳥花、勉強してる?」
「え?ええ?あ、うん。そうか。そうだったね!」
「何の返事?それ。」
「あ、気にしないで!勉強は、まあしてない…かな?」
「今日からちょうど一週間前だし、また汐(うしお)くんと翔平くん誘って勉強会しようか。」
「うん!する!」
私たちは高校一年生の時から同じクラスで、翔平の幼馴染みの間宮汐(まみや うしお)くんを交えて、いつも四人組でつるんでいる。試験一週間前になると自然と集って勉強会をしていた。
(勉強は嫌だけど、翔平と急接近できるチャンスなんだよね~。)
私が思わずにやけていると、そんな私を見た沙都子ちゃんが矢庭に口を開く。
「ねぇねぇ、まだしないの?告白。」
「え!?し、しないしないよ!そんな大胆なこと!」
「脈ありだと思うんだけどな~。」
こんな会話も、したような記憶がある。私は微かに頬を赤らめて自転車を押した。
告白…すれば実るかもしれない。だがしかし、私は夏祭りに翔平がしてくれた告白をもう一度聞きたいのだ。
それほど嬉しかった。それほど、ドキドキした瞬間だったのだ。
そうして沙都子ちゃんと雑談をしながら教室へ辿り着くと、私は早速、翔平の元へ歩みを進ませた。
「翔平、汐くん、おはよう!」
「おはよう。」
「お、鳥花、今日は早いじゃん。雨でも降るんじゃね?」
「何だよぉ、その言い方!相変わらず意地悪なんだから!」
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