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「ちょっ!ちょっと沙都子ちゃん!」
「ん?」
私は勉強会が始まる前に沙都子ちゃんを廊下へ連れ出した。
「麻里香ちゃんって、翔平に気があるの?」
「あるんじゃない?二年生になってから積極的に話しかけに来てて、鳥花いっつも荒れてるじゃない。どうしたの?今更。」
「二年生に…なってから。」
(あり得ない。)
私は、確かに一度体験した時間に戻ってきた。しかしその中身が違う。
同じことなど、ましてや人間(ひと)の動きがそっくりそのまま同じことなんて、あり得ないと言うことだろうか。
私は確信した。此処は最早、別の時間(せかい)と捉えるべきだろう。でなければ私の欲しいものが、一番の望みが失くなってしまう。
「沙都子ちゃん…どうしよう。翔平、とられちゃ「ストーップ。」
私が言い終えるよりも先に、沙都子ちゃんの手で口を塞がれた。
「ネガティヴは口にしないって、鳥花言ってたじゃない。口にしたことは本当になるからって。」
「でも…。」
「大丈夫だよ。谷さんにはあっても、翔平にその気はないよ。」
「どうしてわかるの?わかんないじゃん!」
「わかるよ。第三者だもん。」
「…そう言うもん?」
「ん。ほら、私たちも行くよ。赤点とったらマズイでしょ。」
そうして、結局、腑に落ちないまま一週間の放課後を過ごした。
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