改めまして、こんにちは。

8/9

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
最終日の金曜日、私は皆んなと別れて自転車置き場へ行くと、 「よっ!」 「わっ!」 突然、後ろから頬に冷たい何かが触れてきた。振り返ると、 「翔平…。」 「ほらよ。」 翔平に手渡された物は、私の好物である紙パックの林檎ジュースだった。 「有り難う。…翔平、徒歩じゃん。皆んなと帰らないの?」 「駅まで自転車の後ろに乗せて貰うほうが楽じゃん。」 「二人乗り、駄目、絶対。」 「堅いこと言うなよ。それ、やったろ?」 そう言って私の手の中の林檎ジュースを指差す。 「仕方ないなぁ。」 「なぁ、鳥花。」 「ん?」 「最近、何かあった?」 「え?」 「無い。」と言えば嘘になる。が、しかし相手は当の本人の翔平なわけで、「有った!」と言うことはできないのだ。 私が必死に言い訳を探していると、翔平は私の頭をくしゃくしゃと乱雑に撫でた。 「わっ、な、何?」 「俺には話せないこと?」 「そう言うわけじゃない…けど。言いにくい。」 「鳥花にとって俺ってそんなに信用ない?」 「そう言うんじゃないよ!…ただ、今はまだ自分の中でも整理がついてなくて、相手が誰でも話しにくいの。」 「ふーん。」
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加