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この瓦礫の向こうには、洋風でレトロな雰囲気の建物が並んでいた。風が靡くと、遠くから風鈴らしい音(ね)も聞こえてくる。
「凄…。綺麗~。」
自分の状況を把握できているのか?などと野暮なことは訊かないで欲しい。私はこう言った映画やアニメに出てくる街並みに強く憧れているのだ。
つい、瓦礫を避けて其方へ足を向ける。ステンドグラスの窓で作られている建物が彼方此方にあり、陽の光を浴びて四方八方がカラフルに揺れている。
まだ太陽が真上にあるにも関わらず、提灯は灯りを燈しており人の装いもレトロにカラフルで、みんな洒落ている。
ふっと横を通り抜けるスクーターは、何と宙を浮いていた。小さな子供は風船を手に、ふわふわ体を浮かせながらお母さんと手を繋いでいる。
しかしたくさんの人で賑わうこの場所に顔見知りは無く、人見知りの私が声をかけるには勇気がいる。
と、小道に気がついた。建物の間と間。影になっていて薄暗く狭いが、石造りの階段の下に「よろず屋」と書かれた赤く光る看板を目にする。
興味本位でその階段を降りて中を覗くと、どうやらお店のようだ。
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