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とは言え、まるで罪悪感がわかないわけではない。麻里香ちゃんには、教室のど真ん中で恥をかかせてしまったのだ。
私は私で大泣きしているわけで、心の真ん中には羞恥がある。一体どんな顔をして教室に戻ればいいのか…。
翔平は堂々としていて。いつもと変わらぬ振る舞いでいるのだから大したものである。
「なあ、鳥花。」
「な、何?」
「おどおどし過ぎ。谷さんなら大丈夫だよ。」
「何でわかるの?」
「“お友達”が慰めてくれてんだろ。」
「うわ、嫌味…。」
“お友達”とは、先ほどの女子特有の子たちのことだろう。麻里香ちゃんは可愛くて容量もいい。前述にもある通り、男子ウケもいいのだ。
私と沙都子ちゃんは、あちら側の人間ではない。どちらかと言えばお互いがサバサバしていて、一番に仲も良く、遊びにも行けば相談もし合うが…。
休み時間に一緒にお手洗いにいくような付き合い方はしていない。
体育祭の準備で賑わう廊下を、私は緊張の面持ちで進んでいく。
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