エロ本を何年も手元においてはいけませんよ

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「痛い!!」 エロ本が床に落ちたんです。 彼女はエロ本のページの端で指先を切ってしまったんです。 よく、紙の端で指先を切ることがあるじゃないですか。 剃刀でスパッと切ったような鋭い傷口でした。 傷口から血が噴き出していました。 彼女は片手に掴めるだけのティッシュを握りしめて傷口を抑えてます。 それでも血は止まりません。 床に落とされたエロ本、 写真です、印刷物です、ページの中の女が動くなんてことはあり得ません。 でも、ページの中の女の目がゆっくりと動き出して、僕と視線があったんです。 そして、口の両端がつり上がりニヤリと笑いました。 「あのねぇ、ワタシたち、何年間もずっと一緒だったんだよ」 「これからもずっと一緒だよ」 「あなたは、ワタシだけを見てればいいの」 「この女、もうすぐ死んじゃうよ、だって、傷口に菌を入れてやったもん」 「あなたに近づく女はみんなこうしてやる」 「あなたに近づく女は許さないんだから」 「ワタシはあなただけのモノなんだよ」 「だから、あなたはワタシだけのモノだよ、わかったぁ」 「フフフフフフフフフフフフフフフ」 僕はページの中の女から視線を逸らすことができませんでした。 身体が凍り付いて動けなかったんです。 そして、込み上げてくる高笑いを抑えることができなかったんです。
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