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【act0】ロスト・リミット症候群
『ロスト・リミット症候群』とは?
人間の体は本来、親指一本で60キロの質量を持ち上げるだけの構造を備えている。
しかし常にそれだけの力を発揮していては純粋に肉体が持たないため、平常人は脳自身の働きにによって自然とその力はセーブされている。「火事場の馬鹿力」と呼ばれる、緊急時に人が普段からは信じられない力を発揮することは有名で、父親の危機に高校生の娘が車一台を一人で持ち上げた事実も過去にはある。これは危機に直面した際に、持ち主の脳が肉体の制御を外したという目に見えて分かりやすい一例だ。
ロスト・リミット症候群とは、何らかの先天的または後天的な異常により、その制御を失った人の状態を指す用語である。
力の加減が非常に困難で、常に100パーセントの力を使用してしまうため、物の破壊や肉体の酷使が著しく、日常生活を送るだけでも深刻な苦労を要する。
また、肉体の疲弊や消耗は日々の生活だけで蓄積していき、先天的な発症者に至っては10代で車椅子の生活になることも珍しくなく、30代以降の生存率に関しては極めてゼロに近いという過酷な統計も現されている。
患者自体、世界では数千人、日本では数百人と言われるほど症例も少なく、その原因や治療法の研究は未だほとんど進んでいない。
そのため医療機関でも診断できるところは少ない上、医師からの指導は痛み止めや普段の力のセーブといった消極的なものに留まるため、どんな世界の先進医療でも画期的な治療法は今のところ存在していないのが現実である。
wik○pediaより
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