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「きて」
私の手を掴むと、先輩はどんどん歩いていく。
「……照れ隠しに必死だったんだ。
君が凄く、可愛いから」
前を歩く先輩の顔は上がり始めた花火に映し出されて、赤い。
「誤解させて泣かせてしまった。
……ごめん」
人気のない場所まで来ると、先輩の腕にそっと包まれた。
どきどきと早い、心臓の音はどっちのもの?
「君が……好きだ」
先輩の手が頬にふれ、ゆっくりと目を閉じる。
壊れそうなほど早い鼓動。
そして――。
「あー、いたいた!
うまくいったかー?」
……にやにやと私たちを見つけ、やってきた部活仲間に、先輩が冷たい視線で応戦したのはいうまでもない。
【終】
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